さて、先日の企業分析に追加して、目標株価を検討してみます。
売り上げの伸び率を検討してみます。
2015年9月期から2019年9月期までの売り上げの増加率は、平均で
4.94パーセントとなります。
2020年9月期は、コロナの影響があるので、除外しています。
仮に、2020年9月期のコロナの影響がなかったと仮定します。
2019年9月期の売上高11592百万円に4.94パーセントずつ毎年増加するとすれば、2020年9月期は、12765百万円となります。ほぼほぼ、今期の予想通りとなります。
そして、同社IRによれば、全国展開はせずに、今後も神奈川県内で開校していく(まだまだ進出余地は残されているとのことです。)、今後も年に3校程度ずつ開校するとい
う方針に変わりはないととのことです。
また、大学受験部門については、開校の余地があるので、適切な場所があれば開校するというものでした。
したがって、急激な成長を目指すというものではなく、従前どおりに着実に売り上げを伸ばしていくことができると思います。
そのため、売上の伸びは、今までと変わらず、5パーセントは、達成できると考えます。
次に営業利益の伸びを考えてみます。
2015年9月期から2019年9月期の平均は、4.12パーセントとなります。
2021年9月期の営業利益率26.6パーセントが過去最高になっていますが、IRによればこれは売上高の伸びが起因しているとのことです。
塾の費用は、施設の費用と講師の人件費ですので、一教室当たりの塾生が増加すれば、営業利益率も増加します。
受け入れ生徒数が最大に近いクラスが増加したことが原因にようです。
ただし、同塾では、受け入れ生徒数(1クラス20名以内)を厳格に守っているとのことで、今後売上高営業利益率としては若干減少していく予想とのことです。
(個人的には、塾の経営としては、受け入れ生徒数を厳格に守るという方針は好感がもてました。)
ということで、営業利益の伸びも先の2015年9月期から2019年9月期の伸びの平均とさほど変わらないという判断ができると思います。
そして、他の期では、10パーセント伸びた期もあることなども考えて、売上高と同様に年5パーセント程度は着実に達成できるものと思われます。
そうすると、EPSは、毎年5パーセントずつ増加すると仮定します。3年後のEPSの水準は、現在の15パーセント増加すると想定できます。
株価は、EPS×PERですので、PERが現在と変わらないのであれば、2235円が目標株価となります。
ここで、同業他社のPERは、明光ネット22.7倍、東京個別指導学院27.1倍、京進22.4倍となっています(10月16日現在)。
同社のPERは13.3倍(10月16日現在)ですので、PERの比較でみればかなり割安といえるでしょう。
同社が、同業他社と同様のPERまで評価され、仮に20倍程度の水準までは評価されるとすれば、PERは今の1.5倍になります。
株価は、EPS×PERですので、目標株価は、3352円(先に計算で出した2235円×1.5倍)と考えました。
成長株という括りでみると、ビックチェンジ要素もないと思いますし、物足りないかなとも思います。
ただし、バリュー株としてみた場合には、少ないながらも着実な成長要素、他社よりも割安な指標、リーマンショック時などでも増収、増益であり不況耐性もある企業であること(そもそも教育業界がそういった要素があるとは思いますが、)からかなり魅力的な会社だと改めて思いました。
ただし、同社は、神奈川県に特化ということですので、正直、今後の成長の余地がどこまであるのか、神奈川県内における同業他社との優位性などが肌感覚として分からないところが多いのもあります。
その辺が今のPERにも表れているのかもしれず、バリュエーションの変化は起こらない(バリュー株の罠)可能性もあるかなとは思います。
なお、2020年9月の減収、減益はコロナの関係によるもので、授業料の返還などをしたようです。
授業料の返還をとったということで、逆に学習塾の信頼性はあがっているようです。
受け入れ生徒数を厳格に守るという姿勢、此度の授業料の返還をするという姿勢は、学習塾を経営するという企業倫理からも素晴らしい姿勢であり、ますます同社に対する評価があがりました。